センター大学 国際文化学科3年 法水美咲 <3号 2023年1~2月>

はじめに

極寒の12月を乗り越え、少しずつ気温が上がってきました。まだ上着は必須で肌寒いですが、季節が変わっていくのを感じます。留学報告書も今回で第3弾になり、8月にダンビルに来てから半年が経過しました。留学中は毎日忙しく、課題をやっていて気づいたら夜になっている、ということも沢山あります。それでも毎日同じ日々というわけでは決してなく、キャンパスで挨拶をする人が増えていくこと、自分自身の性格や英語力の変化から、前よりも成長していることを実感します。

今回の留学報告書は、センターターム及び春学期で履修している授業内容をメインに書きたいと思います。

木蓮の花
↑まだ蕾もありますが、木蓮の花が咲いてきています。
ピクニックの様子
↑天気が暖かくなってきたので、キャンパスの芝生で友人とピクニックをしました。

センターターム

センター大学には、通常の秋学期・春学期に加え、"Centre term"(冬学期)と呼ばれる学期が存在します。センタータームは集中講義のようなもので、冬休み明けの1月最初から、3週間ほどで終わります。受けるのは1講義のみで1日に3時間あり、それを毎日3週間行います。1講義だけ授業を受けると聞くと少し楽なように聞こえますが、同じ講義を毎日3時間受け、その3週間の間にペーパー(エッセイ)やテストも行うので、通常学期に比べるとむしろ忍耐力のいる学期かもしれません。

センタータームでも通常学期通りに履修登録を行うのですが、通常学期に比べ開講されている授業がとても限られています。更に、多くの学期はOff-campusと呼ばれる外国に行って受講するもので(短期留学のようなものです)、センタータームを利用して他の国に留学に行く学生はとても多いです。

・ENG242-a (Early Chinese Writing & Lit,)

今回のセンタータームで私は、ENG242という講義を受講しました。講義内容としては、主に中国の詩や文学作品を読む授業です。内容は中国文学ですが、ENGの授業なため、授業は英語で行われます。また文学作品を読む授業であるため、この講義は全体としてリーディング課題がとても多く、1日に300ページ程読んだ日もありました。授業の前半は、杜甫や老子等の詩を読み、後半は長めの文学作品(孫悟空等)を読みました。私は日本で生まれ育ち、中学や高校の授業で中国の詩や文学作品を読む機会もあったため、知っているものも多かったです。

毎日何百ページもの英語を3週間近く読んだため、頭が疲れて入ってこなくなる時もありましたが、個人的にこの講義は凄く好きな講義でした。なぜなら、この講義を担当している教授(Dr. Phill)がとても優しく、親身になってくれる方であったからです。オフィスアワーに最初に行った際、「美咲は日本で何を勉強しているの?」「部活には入っているの?」「日本のどの辺から来たの?」など、私に関する質問を投げかけてくださり、学生のことをより知ろうと努力をしてくれる素敵な先生です。またアメリカでは基本的に、学生は教授の事を"Dr. ○○"と呼ぶのですが、この教授は「Dr.○○は、距離を感じすぎてあまり好きじゃない!Phillや、Phillipと呼んでほしい」と仰っていて、気さくな人だな、と感じました。

全体的に少人数のクラスで、まず課題である文章を読み、読んでみて感じたことを授業でお互いに共有して理解を深めるといった講義内容でした。また、授業の終わりに毎回Moodleでリフレクションをすることも課されていて、そこに自分の意見を書くだけでなく、他の人の意見を見ることもでき、自分には無い解釈を知れて面白かったです。

杜甫の詩について学んでいた時に、中国人のクラスメイトが、「杜甫は凄く有名だけど、ネガティブで社会を批判している詩が多いから、中国では杜甫の詩があまり好きじゃない人もいる」と言っていました。私としては、取り繕わずに自分の中のネガティブな感情をさらけ出し、ありのままを詩にしている杜甫の詩には惹かれました。また社会批判の詩もありますが、「なぜ季節はこんなにも早く過ぎてゆくのだろう」といった、自然の刹那に目を向けている詩も沢山あり、個人的にはこの講義を通して杜甫の詩が好きになりました。確かに好みは分かれると思いますが、中国出身のクラスメイトから実際の中国での評価を聞けたことは、興味深くて面白かったです。

春学期の授業について

センタータームが終わると、次は通常の春学期が始まります。私が春学期で履修している講義は、ARS 220、ANT 252、REL 110、ENG 170 の4つです。今回の履修登録は、希望通りの講義が運よく取れました。ここで履修登録のコツとして、教授にメールを送ることをお勧めします。例えば履修したい講義の空きが全部埋まっており、履修できない時もありますが、その講義の教授に直接メールをすれば履修できるケースもあります(実際に他の学生から聞いた話です)。100%では無いですが、諦めて他の講義を追加する前に、取りたかった講義の教授にメールを送ることをお勧めします。

・ARS 220 (Interm Drawing: Figure/Landscape)

前回の学期に比べ、今回もDrawingの講義を履修しました。秋学期で履修した講義では箱や骨などを描きましたが、今回のARS 220では人を書いています。毎回の講義にデッサン用のモデルとなる人がいて、ポーズに合わせてその人を描いていきます。30秒で1枚を描くQuick Drawingを行ったり、逆に長い時間をかけ、丁寧にも描いたりします。人の顔や指などを描くのは難しいですが、人物を描くことは骨や関節などの人体の構造を理解することも必要になるため、とても楽しいです。またこの講義では課題として、自分の顔や手、体を描くことも課されます。自分の顔を描く課題を出され、鏡を見ながら描いていた際、「鼻の影はこの程度」「眉毛と目の距離はこの程度」と、今まであまり意識してなかった自分の特徴を知ることも出来ました。

構想中のスケッチブック
↑毎回スケッチブックに構想をしてから描き始めます。
自分の手を描いた絵
↑課題で、自分の手を描きました。阿修羅像をイメージしました。

・ANT 252 (Intro to Archaeology)

この講義は、ANT(人類学)の分類ですが、内容としては講義名の通り、考古学について学びます。私は以前から考古学に興味があったのですが、なかなか学ぶ機会がなかったため勉強したことはありませんでした。しかし、今回の春学期で考古学が開講されることがスケジュールで確認できており、秋学期の頃から履修することを決めていたため、とても楽しみにしていました。考古学とは何なのか、考古学者は何をするのかといった分野についての基礎知識の勉強はもちろんですが、この講義はアクティビティが多く、実際に体験をしながら学ぶことが出来ます。考古学といえば、穴を掘って埋蔵物を発見するようなイメージがあるかもしれませんが、考古学では想像の何倍ものアプローチから過去の人々の生活や文化を学びます。例えば、学んだ内容の1つに"Garbage Analyzing"というものがあります。これは、ある家庭から実際に出たゴミを分析し、その家庭にはどのような人物がいるのかを推測するものです。授業内でアクティビティとして行った際は、2つの家庭から出たゴミを調べ、それぞれがどのような家庭か、そして類似点と相違点は何か、という分析をグループで行いました。薬箱、ペットの餌、飲み物の種類と量、服のタグ等、情報が増えるにつれて家庭の解像度が上がっていくことが面白かったです。そして自分はどのようなゴミを捨てているのか、自分のゴミを他の人が見たらどのように分析するかについても考え、もし自分の部屋のゴミを分析されたら嫌だな、と思いました。

まだ授業の前半ですが、この講義はとても楽しく、グループワークや実際に体験するアクティビティもあるため、毎回の授業でとても刺激を受けています。学んでいくうちに考古学の奥深さに触れ、もし今後また機会があればもっと考古学について学んでみたいな、と思っています。

Garbage Analyzingの様子
↑Garbage Analyzing の様子です。

・REL 110 (Biblical History and Ideas)

この講義は、その名の通りキリスト教の聖書について学ぶ講義です。私は県立大学の研究室で仏教について学んでおり、他の宗教も学んでみたいと思ったため、この講義を受講することを決めました。私はキリスト教徒でもなく、キリスト教の学校に通っていたわけではないため、アメリカで生まれ育ちキリスト教に馴染のある他の学生に比べると、苦労している部分も少しあります。しかしこの講義を担当しているDr. Jeffersonの講義はわかりやすく、更に、とても親身になってくれる先生であるため、質問に行ったりしながらなんとか履修できています。

聖書の内容はもちろんですが、聖書学で使われる単語についても学びます。この講義ではテストが約3回、そしてペーパーが2回あります。私は既にテストを1回受けたのですが、質問内容がかなり難しいです。テスト前だけに限らず、分からない部分や大事な部分を日頃から教授に質問し、理解しておくことが大切です。

1回目のペーパーでは、指定された聖書の章から自分が好きなものを1つ選び、主張を決め、分析をしました。聖書はかなり昔に書かれたものなので曖昧な表現が多く、1つの文でも沢山の解釈が存在します。それらの解釈を自分なりに行い、その解釈をサポートする聖書の文や単語を要約しながら主張をしました。求められるページ数も多く、内容も難しいですが、締め切り日の約2週間前に下書きを提出することが求められたため、計画的にペーパーを提出することが出来ました。この講義は今回の学期で1番苦戦していますが、秋学期の倫理哲学の講義に比べると負担が少ないので、今後も引き続き頑張ろうと思います。

・ENG 170(Topics in Writing)

この講義では、英語でライティングを行う際どのようなことに気を配るか、ということを学ぶために、沢山の文章を読みながら実際に課題としてペーパーを書いています。留学に来てすぐ秋学期が始まり、秋学期の講義でペーパーの課題が出た際、参考文献の付け方や引用の仕方、文章の構成も曖昧なまま取り組んでいました。それでも秋学期やセンタータームでペーパーは何回も書いてきたので、履修前にはある程度理解していましたが、この講義ではおさらいとして正しい書き方を学ぶことができています。また、良いライティングを行うためには良い文章を読むことも大切であるため、課題を行ってリーディング力もつけることが出来ます。

過去の先輩や、今回の留学に一緒に来ている他の学生でも履修している人がいるため、担当している教授は今まで何人も県立大学の学生を見てきています。そのためいつも私たちの様子を確認し、気遣ってくださいます。また個人的にこの教授の好きな部分は、授業中に当ててくれることです。私はあまり自分の考えや答えに自信がない時は、発表することをためらってしまうのですが、この教授はよく当ててくれるため、自信がない時でも自分の考えをみんなに共有することが出来ています。もちろん「今は当てないで欲しい!」と思ってしまう時もありますが、確信が持てなくても発表することはとても大事だと思います。

授業外の生活

年が明けてから秋学期の頃よりも友達やコミュニティが増え、外に出て新しい体験をすることが増えました。最近はセンター大学のOutdoor-clubというクラブを友人に紹介してもらい、メンバーとハイキングに行ってきました。ケンタッキー州にあるRed River Coastという所に行き、ハイキングをして皆でピザを食べました。車を持っている何人かが運転してくれたため、1人ではいけないような所に行くことができ、素晴らしい体験をすることができました。

この日は雨の翌日で、少しぬかるんでいた上に寒かったですが、身体を動かして滝や山などの雄大な自然を眺めることができ、とても楽しかったです。クラブでは定期的にハイキングやカヤックを行っているそうなので、帰国までにまた機会があれば、参加したいと思います。

ハイキングの様子
↑ハイキングの様子です。
ミレニアムパーク
↑キャンパスから徒歩30分ほどで行ける、ミレニアムパークです。
綺麗な川が流れており、鳥も沢山います。